【書評】誰がアパレルを殺すのか

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以前の記事で靴のことやアクセサリーのことを書いたことがありましたが、記事にして良いものを紹介したいと思うくらいファッション、服、靴などが好きです。

そういう個人的な理由と、実は今やっている仕事もアパレルに関係することもあってアパレル業界の動向は常に気を配ってチェックしています。

アパレル業界の動向という意味では今回ご紹介する「誰がアパレルを殺すのか」はこれからのアパレルが向かう方向を知る上で非常に良い資料になるのではないかと思います。

これまでのビジネスモデルの限界

アパレルは苦戦しているというニュースをよく聞くような気がします。

特に百貨店の売り上げが下がっているというニュースは現代を象徴するかのように報道されているような気さえします。

なぜ百貨店がうまくいかなくってしまったのかも本書のなかで解説されておりますが、昔から成功モデルをひきづってやり方を変えてこなかったことが原因だったということだと思います。

人件費の安いところで大量に作って、いろんな場所で大量に売る。川上、川下で縦割りになり、お互いのフィードバックがないまま物の流れが変わらなかった。

そういうこれまでのビジネスモデルの限界が今の百貨店の状態を作ってしまったということだと思います。

うまくいっている企業もある

そういうなかでも成果を上げている企業もあると本書のなかで紹介されています。

インターネット販売で成果を上げているアメリカの「エバーレーン」。日本では「ゾゾタウン」

これまでは販売することが当たり前だったところに服のレンタルで売り上げを上げてきている「エアークローゼット」

ゾゾタウンと連携し、顧客のクローゼットを在庫だと考え、服の買取の新しい形を作っている「クラウンジュエル」

ブランドのセレクションや販売員の動機付けで成果を上げ、メイドインジャパンにこだわり、東証一部に上場した「Tokyo Base」

これまでの中国で大量に生産し、スピードを上げるためOEMに企画を丸投げしたことで画一化を招き、目先の売り上げを上げるために大量出店、セールを繰り返した、これまでのうまくいかなくなったやり方を改善した方法で成功してきていると言えます。

また、インターネット関連の技術の発展により川上から川下の距離が縮まってお互いの情報をやりとりしやすくなったことも要因としてあるようです。

例えば、ゾゾタウンに出店しているブランドは自社の在庫を確認のするだけではなく、他社の商品トレンドなども分析できる管理サイトがあったり、予約機能を使うことで事前に発注量を調整して在庫量をできるようになりました。

これからはマスカスタマイゼーション

IT技術の発展がアパレルを産業では遅れており、ようやくその活用が始まってきたというのが筆者の見立てなのだと思います。

これからはIoTやAIを活用して消費者の個々のニーズに答えるモノづくりがアパレル業界でも広がっていくと言います。

ヌッテというサイトは服を縫製してほしい一般の利用者と職人をマッチングして利用者の要望(予算、サイズ、どんな服かなど)を入力するとオーダーメイドの服が作成できます。

ユニクロなどでも店頭でカスタマイズした服を購入できるサービスが始まっているようです。

また、コナカとクリエイティブディレクターの佐藤可士和氏が組んでオーダーメイドのスーツを3万5000円から最短2週間で作ることができるディファレンスというブランドを作っています。
佐藤可士和がオーダーメイドのスーツを選ぶ理由 コナカを前進させた社長とのやりとり

技術の進歩により、既製品を大量に作るのではなく、一人一人のニーズにあったものを作る流れをマスカスタマイゼーションというようですが、その流れがアパレル業界でもどんどん進んでいくのだと感じました。

この大きな流れに置いていかれないように関連技術の情報を引き続きチェックしていって自分で活用できるようにしていく必要を強く感じました。

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