3Dプリントしたチタンの指輪を鏡面磨きする。
アクセサリーを作っているとやはり光沢がある作品を作りたくなりますよね。
材料自体はDMM.makeから作っていますが、後加工を入れるとかなり納期がかかるし、お金もかかるんですよね。
もっとも安価なチタンで光沢を出したものもがかっこいいのであれば、その一本にすれば安いし、納期も速い。
やすりを揃えて手で研磨するのは大変なので少しでも機械化するためにリューターを購入し、リューターで光沢を出せるようにしたほうが良いと考え、ある程度やり方がわかってきたのでご紹介したいと思います。
DMM.makeでプリントできる材質「チタン」
私はiPadで3Dモデルを作成して、それをDMM.makeというサイトを通じて3Dプリントしています。
詳しい流れはこちらの記事にまとめていますので、ぜひご覧ください。
DMM.makeでは本当にさまざまな材質で3Dプリントすることができます。
アクセサリー作りの場合はシルバー、真鍮などが多くなりますが、チタンなんかもプリントできます。
チタンは金属粉末を直接焼結して形を造形するということもあり、納期が早いし、価格も安いというメリットがあります。
ただ、金属粉末を焼結させるという製法上、表面が凸凹したマットな質感になったしまいます。
これはこれでデザインとしてはアリなのですが、バリエーションとしてはもっと光沢があるものも作りたいですよね。
シルバーや真鍮であれば鏡面磨きまでやってくれますが、やはり価格が高いです。シルバーなどの場合はロストワックス法という鋳造方式を取るため納期も長くなってしまいます。
そうであれば自分で鏡面光沢を出せる技を身につければ、安く、納期も早く、バリエーションも増やせるというかなりのメリットを享受できると思い、取り組みを始めました。
できるだけ機械化するためにリューターを購入
鏡面磨きということでやすりをたくさん揃えればいいのですが、それではあまりにも大変だと思ったのでリューターを購入しました。
リューターとは歯医者さんで使っているドリルのようなものをイメージしていただければわかると思います。
先端につけた工具を高速回転させ、対象物に当てることで加工していきます。
回転してくれるので基本的にはリューターで撫でてあげれば金属を加工できるので手に入れやすく、便利だと思います。
今では東急ハンズなんかでも買えますし、ネットでも買えます。結構安いです。
私はケースに入っている物の方が良いと思い、こちらを選択。モーター駆動タイプなので連続使用時間は10分以内が定格使用時間で短いというデメリットはありますが、この価格で一通りの先端工具が揃っているので手始めに使う分には良いのではないでしょうか。
ちなみに10分加工して休ませるというのは作業効率が悪いので私はこのリューターを2セット購入し、交互に使うようにしています。
番外編、いろんな先端工具を試してみた。
いきなり番外編ですが、リュータ付属の先端工具がたくさんあったので少し試してみました。
本編を早く見たい!という方は飛ばしてください。
それぞれ簡単にコメントを書いています。
番外編、実験サンプルのビフォーアフター
実験的にチタンとシルバーを磨いてみたビフォーアフターです。
ビフォー アフター
シルバーをシリコンバフで磨いた後。かなり綺麗な光沢が出た。鏡面まではいかないのでシルバー用磨きクロスなどがあると良いか 円盤型のシリコンバフで磨いた後。表面の粗い部分も平滑にできた。内側はうまく磨けない。
チタンを鏡面磨きする方法
さて、ここから本題です。
DMM.makeで作成した直接金属焼結のチタンの指輪を鏡面磨きする順番をご紹介します。
作業を始める前に、金属を削っていく作業になるので換気の良い場所で作業することをお勧めします。
私はベランダでやっています。
また、保護メガネやマスクもしたほうが良いでしょう。家庭で行う場合でもリューターのように高速回転する物を扱いますので思わぬもの(破片など)が飛んで来ることがあり得ます。
また、服を汚さないためにもエプロンなどもあると安心です。
粗めの砥石で磨く
DMM.makeのチタンの場合、表面がかなりざらざらしているので、大胆に削っていきます。
チタンは硬いので砥石で磨いていきます。
私はこの段階ではキソパワーツールというところの粗めの砥石を使っています。
とにかく表面を全体的に削っていくイメージです。
DMM.makeの鋳造品は全般的に表面がかなり粗いのでこのくらいの荒さの先端工具を持っていると便利だと思います。
この段階では指輪はこんな感じです。
細かめの砥石で磨く
次はもうちょっと細かめの砥石で磨きます。
これは購入したリューターに入っていた付属のものを使っています。
粗いものから使ってどんどん細かい番手のものを使っていくというのが基本になります。
この段階では表面はこんな感じです。
中磨き用のシリコンバフで磨く
中磨きという言い方が正しいのかわかりませんが、表面の光沢を出す訳ではなく、まだ表面の平滑性を上げるイメージです。
この場合はシリコンバフを使うのが良さそうに思います。
チタンが硬いのでシリコンがどんどん消耗されていきますが、ここで紹介している形状のバフであれば結構持ちがいいです。
大きいのでそのままで指輪の内側を磨けませんがので、使い込んで小さくするか、カットして小さくして使うのが良いと思います。
シルバーやブラスであればここから始めても鏡面光沢を出すことができると思います。
指輪表面はこんな感じになります。まだマットな感じですが、平滑さが増しています。
シリコンバフで磨く
ここからは仕上げの工程です。
たくさんのシリコンバフがありますが、粗い番手から細かい番手を順番に使っていきます。
ここまでくると全てをご紹介するのが大変なのですが、これらはSuzohoというところで購入しました。
番手が1番粗いものへのリンクを貼っておきますのでご興味ある方はご覧ください。
全てを使う必要はないかもしれません。この辺は私ももう少し研究したいと思っているところです。
最後の#1000の1番細かいシリコンバフを使った後の指輪がこちら。
シリコンバフはご覧のような形状なので細かい部分は磨きにくいです。
そんな時はスパイラルホイールと呼ばれる先端工具を使うのがおすすめです。
スパイラルホイールを使う場合はマンドレルという棒だけのものも必要になりますので合わせて購入しておきましょう。
正直、これだけでも鏡面光沢にできるくらい優秀です。
1枚だけではなく、一つのマンドレルに6枚くらい取り付けられ、複数枚つけると平面でも研磨しやすくなります。
どんなものを磨くにしてもこのスパイラルホイールを全種類持っておけば鏡面光沢ができると思いますので、どの先端工具を買うか迷っている方はまずこのスパイラルホイールを揃えることをお勧めします。
金属を削ることを考えると前述の砥石やシリコンポイントの粗い番手のものを準備しておいた方が早く削れるのでDMM.makeのチタンのようなものを磨く場合は他のものも検討されるのが良いと思います。
コンパウンドとフェルトバフで仕上げ
ここまできたら本当の仕上げです。
サクラクラフトラボ001という真鍮製のボールペンを磨くときにも使用したピカールです。
このような研磨剤(コンパウンド)を使用するときはフェルトの先端工具を使用するのが良いと思います。
ピカールを使うともう一段光沢が増します。
これで完成!全部で2時間くらい
これで完成です。
研磨する前とした後だとどのような違いがあるのか、こちらの画像をご覧ください。
ちなみにこのようなコンパウンドで有名なものとしては「青棒」というものがあると思います。
この青棒とピカールでは研磨材の種類が違い、青棒は酸化クロム、ピカールは酸化アルミニウムだそうです。
粒度で言うと酸化アルミの方が粗いので一見すると青棒の方が光沢を出せるように思いますが、チタンの場合、ピカールの方が光沢を出しやすいです。
前述のスパイラルホイールの1番細かい番手である#8000の緑のものまで磨いた後に青棒とピカールで比較しましたが、青棒の方はあまり光沢が出ませんでした。
チタンは硬い金属のためあまり細かすぎる番手だと光沢が出にくいのかもしれません。
ただ、ピカールの後に青棒を使えばもっと光沢が出るのかもしれませんが、ここまでやったものだとピカールだけでかなりの光沢が出るのでこれで十分だと思います。
いかがでしょうか。全然違いますね!
かなり印象が違う指輪にできたと思います。
チタンに関しては他にも焼き入れをして色をつけるということもやってみました。こちらの記事にまとめておりますのでぜひ合わせてご覧ください。
鏡面光沢の他にもマットな仕上げにする方法もまとめておりますのでこちらも是非どうぞ!
鏡面加工をした後に陽極酸化すると発色が綺麗です。
皆さんの参考になれば幸いです。
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