自宅でメッキのDIYをするならペンメッキが手軽でおすすめです。
金属の着色技術として最もオーソドックスなのは電気メッキだと思います。
ですが、普通にメッキを自宅で行おうとするとかなり難易度が高いのではないかと思います。
しかし、そんな電気メッキを自宅でも手軽にできるようにしたものが今回ご紹介するペンメッキです。
その中でもPROMEX(プロメックス)という製品のペンメッキが手軽でいいのでないかと思ったので、今回はこのプロメックスをご紹介したいと思います。
メッキとは
メッキとは金属を溶かした溶液に電気を流して溶けている金属を対象物に析出させる技術のことで、対象物の表面に対象物とは異なる金属を載せることができるので、対象物の見た目の色を変えたり、対象物の電気的、機械的性質を変化させることができる技術です。
基盤関係でよく使われているほか、宝飾関係でもよく使われる技術です。
例えば、真鍮材(黄色)のものの上に錫(白)をメッキすれば、白い色の外観にすることができます。
私はアクセサリーを作っていますが、よく使う金属は銀や真鍮です。そうなると外観は白か黄色になります。
また、真鍮や銀の場合、空気中の酸素や硫黄によって変色しやすく、外観が損なわれやすいです。
そういう時に耐食性の高い金属をメッキすることで外観を変えたり、変色に強い表面にすることができます。
自宅で手軽にメッキができる「PROMEX(プロメックス)」
ただ、メッキというのはかなり大掛かりな準備が必要になります。
メッキ液を入れておく容器はもちろん、電気を流すための直流電源(整流器)、さらにメッキを作るための薬品類。
メッキ液は金属を溶かすための溶液に加え、その金属をきれいに均一に析出させるための添加剤なども使用する必要があり、そのレシピはかなり複雑で素人で全て準備するのは大変です。
もし調節できたとしてもその廃液を直接排水口からは流せないので、メッキ液を処理したくなった時がまた大変です。
じゃあ、メッキを個人でやるのは難しいのか、というとそうでもなく、個人でメッキをするハードルをかなり下げてくれるのが「PROMEX(プロメックス)」という製品のペンメッキという手法です。
ペンメッキは見た目がその名の通りのペンのような形をしており、そのペンの中にメッキ液が入っていて、そこ金属を供給し、さらにペンを電源と繋いで電気も流してメッキすることができます。
メッキ種ごとにペンを購入する必要はありますが、メッキ用の薬品を自前で調達して自分で調合する必要がありません。
また、使用するメッキ液自体もかなり少量なので出てくるメッキ液は水で洗い流してしまえばOKです。
準備するもの
それではプロメックスでメッキをするために必要なものをご紹介します。
- 整流器
- PROMEX(プロメックス)
- PROMEX用導線
- 電解脱脂剤
- 各種容器
一つ一つ詳しく解説していきます。
整流器
これは電気を流すための装置になります。
整流器も高級なものと思われるかもしれませんが、アマゾンで1万円以下で購入できます。
プロメックスが販売されているサイトを見ると専用の整流器がないと使えませんと書かれていますが、そんなことはなく、このような整流器があれば問題ありません。
プロメックス純正の整流器は1万円を超えますし、電圧も16Vまでしか使えないので無理に純正のものを購入する必要はないのではないかなというのが私の考えです。
整流器の詳しい使い方についてはこちらの記事にまとめていますので、ぜひ合わせてご覧ください。
PROMEX(プロメックス)
ペンメッキ本体です。
メッキ種がかなり色々な数が出ていますので、お好みに合わせてご購入いただければと思います。
よく使いそうなのは金メッキ系とピンクゴールド系ではないかなと思います。
詳しい色に関して、私が購入したものの色についてはこの記事の後半でご紹介しています。
PROMEX用接続コード
プロメックスを使う場合、この接続コードがあったら便利なのではないかなと思います。
ペン本体の上部に金属の部分があるのでそこに普通の陽極クリップを挟んでも問題なくメッキできるのでこれは好みかと思いますが、専用接続コードの方が確実にペンを固定できるので、作業はしやすいかなと思います。
電解脱脂剤
メッキをする前に対象物をきれいにしておかないとうまくメッキがつかなかったり、変色してしまったりします。
それを防ぐためにメッキの前に電解脱脂を行うのが良いです。
水の電気分解をやったことがない人はほぼいないと思いますが、その際、電極に空気の粒が出てきたと思います。対象物表面から細かい空気の泡を出すことによって物理的に汚れを剥がすという効果と、脱脂専用の薬品を使うことで科学的にも汚れを落とすという2つの効果を狙った脱脂方法になっています。
表面を研磨剤などを使って磨いたりすると油でかなり汚れます。こういう汚れをとるときは電解脱脂がかなり効果的ですが、まぁ、家庭用の洗剤でも落とすことはできるので必須かと言われるとそうでもないような気がします。
私はできるだけきれいにしたほうが、その分きれいにメッキがつくと思うので、やるようにしています。こちらの脱脂剤が量もちょうどよくて扱いやすいです。
各種容器
メッキするときは容器は必要ないですが、電解脱脂する時や、処理後の水洗などで水を溜めておくと便利なのでそれ用の容器があると便利です。
これは水が入ればいいので本当になんでもいいです。私はステンレスのボールを使っています。
やり方
それでは実際のやり方です。ここではプロメックスの作業方法をご紹介します。
プロメックス専用接続コードをと整流器を繋ぎます。整流器の赤い方に専用コードの赤い方を指し、プロメックスの本体に接続します。プロメックス用接続コードの説明のところの写真のように接続します。
メッキしたいものを黒いコードの方のクリップで挟みます。整流器の黒い方にも接続コードの黒い方を接続します。
これで準備完了です。
この状態で整流器の電源をつけます。
プロメックスはメッキ種によって電圧が決まっており、本体にその電圧が書かれています。先ほどご紹介したロジウムメッキだと8V〜10Vとなっています。
電圧をコントロールできる機種の整流器であれば、その電圧にセットします。
私が使用している整流器の場合、まず、電流の部分を回して“CV“という表示が点灯するのを待ち、“CV”がついたら、電圧の部分を調整して目標の電圧にセットします。
詳しいやり方は前述のページに書いていますので、あわせてご覧ください。
電圧の設定が完了したらそのままペン先をメッキしたいものにつけます。
こちらは真鍮剤にロジウムメッキをしているところです。メッキがついてシルバーの色になっています。
この画像はちょっと動かすのが速いように思います。ペンからメッキ液を染み出させ、対象物とペン先をメッキ液を介して接触させるようにイメージでペンはそれほど動かさない方が良さそうです。
取扱説明書
私のようにプロメックス純正の電源を購入していない場合、詳しい取扱説明書は手に入りません。
一応ネット上に公開はされているようですが、中国の販売業者のサイトに掲載されているものなので、大丈夫だと思われる方はGoogleなどで「Promex 取扱説明書」などで検索して見てください。
プロメックスのメッキ種の一覧やその色調の説明などもあり、なかなか参考になります。
注意点
このプロメックスによるメッキはかなりの薄膜のメッキになります。
メッキをする物の表面が汚いとそれを隠すようなメッキはできません。
また、真鍮材にメッキする場合、ピンクゴールドなどはほとんど色がついているようには見えません。
そのため、しっかりとピカピカになるように処理したシルバー色のものにメッキする必要がありそうです。
色サンプル
プロメックスもたくさんの種類が販売されています。
特にピンクゴールド系の色がたくさんあります。
私は銅のようなピンクのものが欲しかったのですが、どれがそういう色がわかりませんでした。
同じように思われている方が多いだろうなと思ったので、全て購入して試してみましたw
写真ではわかりにくいかもしれませんが、参考にしていただけたら幸いです。
メッキした素材はシルバ−950で鏡面とヘアラインと2種類の表面にメッキしてみました。全て7Vで作業しました。
「ピンクゴールド」と言いながら黄色みが強い傾向になると思いました。
私がイメージしていたピンクは「レッドゴールド」よりもピンクだったのでちょっと残念に思いながら、やはり下地をいかに光らせるか、が重要かなぁと思います。
まとめ
さて、いかがだったでしょうか。
自宅でメッキしたいという方にはかなりおすすめの製品です。
手軽にメッキができると言っても準備するものは多いので、本当に誰にでもできるかというとそうではないと思いますが、ハードルはかなり下がっていると思うので、興味があるという方はご検討されると良いと思います。
この記事の情報がお役に立ったらとても嬉しいです!
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