独学でもできる!真鍮とシルバーのバイカラーリングの作り方
これまでShapr3Dに関する記事やモデリングの動画をご紹介してきました。
3Dプリントでアクセサリーを作るのは特に設備投資をする必要がないのでとても手軽でいいんですが、ちょっと値段が高いです。
1回のプリントで複数の指輪をプリントすれば一個あたりの値段を下げることはできるんですが、どのサイズをプリントするのか迷うところですし、シルバーなどはリードタイムが長いのでなかなかお客様の要望に応えられない。
そうであれば自分で基本的な指輪を作れるようになれば材料費も安くできるし、サイズ変更などの要望にも応えやすい。
そう思ったので自分で指輪を作れるようになりたいなとおもっていました。
今はYouTubeで指輪作りや彫金などのキーワードで検索すると指輪の作り方に関する動画がかなりの数出てきます。
前述のような背景もありましたので、思い切ってそういう動画を見ながら独学で勉強して指輪を作ってみました。
今回はその様子をご覧いただきながらどういうものを準備すれば自分で指輪を作ることができるのかをご紹介していきたいと思います。
また、今回やって失敗だったなぁと思ったポイントも紹介していきたいと思います。
今回作製した指輪がこちら
今回は初めてですが、こんな指輪を作ってみました。
ミンネとクリーマで出品していますのでもしよろしければ、ギャラリーの方もご覧ください。
さて、この指輪をどのように作っていったのか、ここからご紹介していきます!
指輪のサイズを決めて材料をカットする。
まずは指輪のサイズを決めます。指輪のサイズは実物があるとわかりやすいです。アクセサリーショップなどにいくと指輪のサイズを測るためのキーホルダーのようなゲージがありますが、それも高いので私は紙製のものを使用しています。これなら安く購入することができます。Shapr3Dで指輪を設計するときは直径が判った方が良いので手書きでそれぞれの直径記入したりもしています。
今回は私の人差し指サイズの24号を作ってみました。
必要な長さの材料をカットします。今回は真鍮とシルバーを繋ぎ合わせたバイカラーの指輪を作りました。真鍮とシルバーの直径2mmのワイヤーを必要な長さカットしてつなぎ合わせることで指輪にします。
このような材料はインターネットで本当のたくさんの種類が販売されています。その中から自分が作りたい形の指輪に最も近い形状のものを購入すれば制作時間の短縮になります。
24号の場合、円周が64.9mmとおおよそ65mmとなるので32.5mmずつカットします。ワイヤーの太さが2mmなので本当はその分を足した67mmとなるようにカットするのが正解のようなのですが、実際に長さよりも長めになってしまうだろうなという予想もあって、ノギスを32.5mmにして長さを計測しました。
今回の材料は直径2mmとそれほど太くない材料だったのでニッパーでカットしました。糸鋸を使った方が断面が真っ直ぐになるので良いのかもしれませんが、やすりがけをすれば同じだろうと思い、ニッパーを選択しました。
ニッパーできったあとにそこをヤスリで平にします。
このヤスリはちょっと失敗だったと思っていて、細かいものにやすりがけをするんだから小さい方がいいだろうと思ってこのヤスリをかなり昔に購入していたのですが、こういう場合はしっかりと大きくて、みなさんが使用されているような大きめのヤスリを購入して置けば良かったなぁと思いました。
大きい方が削りやすく、速く削れるからです。
また、ワイヤーの長さを測るときにステンレス製のノギスでその爪を材料に押し当てることでカットする位置の印をつけましたが、ノギスをちょっとケチってホームセンターに行ったときに1番安かったステンレスのものを選んで800円ほどのものを選択しましたが、爪の先端があまり尖っていないものでした。使用する頻度がおそらく多いので初めからデジタルで爪の先がしっかりと加工されたものを購入した方がいいと思いました。
シルバーと真鍮をろう付けする。
材料をカットできたのでここからロウ付でシルバーと真鍮をくっつけます。
ろう付け用のセラミックボードに材料を置いて、接着面にフラックスをつけていきます。このセラミックボードはネットで1400円ほどでした。ただ、これだけでは少し危ないのかな、と思ったのでこのロウ付作業用にレンガのようなもの2個と石膏ボード一つを購入しました。
これもネットで購入できます。レンガのようなものはイソライトというようなのですが、1つ605円、石膏ボードは440円とかなり手軽な値段でした。
フラックスというのはロウを流しやすく、くっつきやすくするための薬品でろう付けに必須のようです。こちらもネットで660円ほどでした。
バーナーは家庭用のガスボンベにセットできるタイプのものを購入しました。少しでも節約するために家にあるカセットコンロ用のガスを使えるタイプにしたほうが燃料の無駄にならないとおもったからで、これもネットで購入できて1300円ほどでした。
実際にろう付けを始めてやってみましたが、バーナーで金属を熱するというのは少し怖かったですし、ロウの溶け方がわからなかったので結構あたふたしましたね。見ていただけるとわかりますが、かなり厚くろうが乗ってしまいました。今回は5分の棒ロウを使ったのですが、棒ろうだと溶ける量をうまくコントロールする必要があるのでこれは初心者向けではないような気がします。
それと、イソライトを初めて使ったときに表面の粉がまったせいなのか火が燃え上がりました。初めて使用される際は水で表面の粉のようなものをしっかりと洗った方が良さそうです。
ロウ付が終わったら硫酸の中に入れます。硫酸もインターネットで購入できます。
フラックスは乾燥するとガラス質になって研磨しにくくなるらしく、それを落とすために酸につける必要があるそうです。
指輪の形に整えていく
10分経ったら水で洗って、今度は曲げて指輪の形にしていきます。
真鍮とシルバーで太さもそれほど太くはないので簡単に曲がりました。
材料を押し当てているのは芯金と呼ばれるもので先端からだんだん太くなっていて、色々なサイズの指輪をこれを使って形や大きさを調整できます。
木製のものもありますが、金属を叩いていくものなので焼きの入った硬い金属のタイプを購入しました、これもケチってメモリの付いていない2800円くらいのものを購入したのですが、指輪作りの基本的なものなのでゲージのついているものを買えばよかったなとちょっと後悔しています。
(メモリ付というのがこちら)
指輪にするためのろう付けの準備
ここではくっついていない面を合わせてロウ付していくために、接着面の位置を木槌で叩いて調整しています。
ここは手では曲げ切れなかったです。素材を傷つけないために金槌ではなく、木槌を使っています。あったら便利かなぁと思い、片面がゴムになっているものをネットで買いました。
ですが、使った感じゴムの面は必要なかったかなぁと思うので普通の木槌でいいと思います。
ロウ付する際はくっつける面同士が真っ直ぐな方が良いということで、この面を糸鋸で切って合わせやすくします。
この作業台は指輪作製動画を見ているとよく出てくるものでこれがあると作業しやすいんだろうなぁと私も購入しました。高さが高い方が作業しやすいと思ったのでこのような形のものを選んでいます。真ん中部分に切れ込みが入っていますが、これはみなさんの動画を参考にして自分で加工しました。これで4300円ほどです。
糸鋸は失敗したなぁと思っているのですが、フレームの長さが275mmのものを買ってしまいました。長い材料を切ることあるかなぁと思い、長めのものを選んだんですが、ミリ表示だとその長さをイメージできず、長すぎるものを買ってしまいました。ネットで売っている材料を見ていると長くても20cmないくらいで、そうだとしてもその方向で切ることはないと思うので100mm前後のものでよいのではないかと思います。
ろう付けして指輪を閉じる
面が揃ったら先ほどと同じようにろう付けします。
ここで指輪を固定している道具ですが、これは逆作用のピンセットで押すと開いて、離すと閉じるタイプのピンセットです。
ものを固定できて便利なので一つはあったほうがいいと思います。熱くなっても危なくないように気がついているタイプを選んで、ネットで1000円ほどでした。
2箇所ロウ付するということでここでは早ロウという先ほどよりも融点が低いロウを使いました。
同じ融点のロウを使用するとロウ付している間に先程つけたロウが取れてしまう危険性があるために融点の違うロウを使うそうです。
ただ、色々な方の動画を見ているとこの指輪よりも近い距離をろう付けするさいも同じロウを使っている方もいらっしゃったので作業者の腕次第なのかなぁと思います。
ちなみに真鍮は銅と亜鉛の合金なのですが、亜鉛の沸点は907℃とシルバーや銅の融点よりも低い温度のため、熱しすぎると蒸発してしまうらしく、そうなると真鍮の表面が真っ赤になってしまうそうです。銅のみになるから赤くなるということで、表面を削ってしまえば真鍮の面が出てきますが、それでも真鍮をろう付けする際は無駄に熱しすぎない方が良いそうです。
指輪の形を整え、余分についたロウを削り、磨く
これで指輪にはできたので形を整えます。
先程の芯金にさして木槌で叩いで円形にしていきます。そして付けすぎたろうを削り、表面を磨いて光沢を出していきます。
ロウの研磨と表面磨きはリューターを使っていきます。ロウはかなり厚くついてしまっているので目の粗い砥石を使って削っていきます。かなりしぶといです。
ロウをあらかた削れたらセラミックポイントで表面を磨いていきます。荒い番手から細かい番手まで順に変えていって鏡面光沢にしていきます。
ここでもちょっと失敗したなぁと思っていることがあって、それはリューターの質です。
リューターもしっかりとしたものを買おうとすると数万円するのですが、そこまでお金をかけられないと思ったので東急ハンズで4000円のものを二つ買って、交互に使うことで負荷を分散するようにしています。
これはこれで一応作業はできるのですが、若干芯がずれてるんですよね。そのせいで細かい振動が発生してしまい、力がうまく伝わらないような感覚があります。
こればっかりとは安物なのでしょうがないとは思いますが、やはりある程度のお金をかけてちゃんとしたものを買いたいなぁと思っている今日この頃です。次にちゃんとした工具を買うとなったらちゃんとしたリューターを買いたいと思っています。
1000番のセラミックポイントで磨いた後は仕上げにピカールで磨きます。仕上げ研磨のコンパウンドはダイヤモンドペーストのものなどいろいろ試していますが、まだ何が1番いいのか模索中という感じですね。
失敗したと思ったことまとめ
長くなりましたが、以上です。
色々と自分で調べて指輪作りを行ってみました。
なかなか後悔しているところもありますが、初めてにしてはうまくできたのではないかなぁと思っています。
最後に失敗したと思うところをまとめておきます。
- ノギスはケチらず、先端が尖ったものでデジタルのものを買えばよかった。
- 棒状のロウによるろう付け(挿しろうというらしいです)は初心者には難しい。
- 糸鋸のサイズが無駄に大きすぎた。
- 芯金はスケールがついたものにしておけばよかった。
- リューターは余裕があればお金をかけたほうがいい。
動画もあります。
ここまで写真と文章で説明してきましたが、それだとわかりにくいので動画にもしました。
ぜひ合わせてご覧ください。ご参考になったなら高評価していただけると嬉しいです。
アクセサリー作製に関する動画をこれからも作製していこうと考えているのでぜひチャンネル登録もお願いいたします。
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