【 Shapr3Dの使い方】パズルリングを作る方法
iPad用3DCADアプリ「Shapr3D」でアクセサリーを作る流れをご紹介しているこのシリーズ。
今回は、その名も「パズルリング」です。
一見すると2トーンのリングですが、それは分解できて、分解できるといっても完全に分かれるわけではなく、複数のリングが繋がった状態になります。
こういう複雑な形状を削り出しで作ることもできますが、3DCADと3Dプリントを活用するとあっという間にできると思うんですよね。
また、いろんな色、材質でも作れます。
今回は色々な計算が必要ですが、いろんなバリエーションができそうで、これからも色々作ってみたいなぁと思えるものですね。
基本構造
まずは基本的な構造を把握してもらったほうがいいと思いますのでこちらの写真をご覧ください。
この写真では2つのリングの場合をものを載せていますが、組み合わせた状態では一つのリングになりますが、それがバラバラになり、パズルのようなのでパズルリングと呼んでいます。
実際、このようなデザインの指輪は意外とたくさんあるようでもっと複雑な形状のものもたくさんあります。
気になる方はぜひ検索してみてください。
寸法の考え方
今回はShapr3Dを使って3連のパズルリングと4連のパズルリングを作りました。
実際にShapr3Dの操作に入る前にもう少し構造についてご紹介したいと思います。
ちょっと見にくいかもしれませんが、3連パズルリングを幅2mmで作った場合の概念図です。
大雑把に色分けしていますが、3つのリングはそれぞれこのような形状をしています。両端の形状は同じ形で180度回転させてものになります。
交差する部分は1辺2√2の長さの正方形になっています。
この中で3つの部分に分けてそれぞれにA、Bという名前をつけました。
Aが二つありますが、これらは形状としては同じで向きが違うだけです。
なぜこの3つの分け方なのかはこの後の流れを見ていただければわかっていただけるのではないかと思います。
ここからShapr3Dの操作の説明に移りますが、Shapr3Dの操作方法の基本的な部分を知りたい方はこちらの記事も参考になるかと思います。
一つ目のリングを作る
V字部分の部品を作る。
まずは一つ目のリング、その中のAにあたる部品を作ります。
おそらくShapr3Dがアッセンブリーのような機能が使えれば複雑に考える必要はありませんが、そういう機能はないのでリングになるように考えながら部品Aを作らなければいけません。
前述のように部品Aのリングと水平方向の長さは幅2mmの場合は4mmです。
今回、 Shapr3Dの中では指輪の幅は1mmの指輪で作成を進めていますので、同じ部分の寸法は2mmとなります。
また、この部分はリングの水平方向からは45度斜めに伸びていることになっていますが、別の見方をすれば2mmずれているということになります。
ですので、Shapr3Dの「回転する」という機能を使います。
今回は9号の指輪(半径7.83mm)を作ろうと思っており、厚さは2mmとしていますので、直径19.66mmとなり、その円周は61.7mmとなりますね。
部品Aは長さ2mmにしたいので、円周の約3.2%となりますので、角度でいうと11.52度です。
つまり、「回転」を使うときに角度を11.52度回転させ、垂直方向に2mmずらせば部品Aの形状になります。
リングで繋げる
一つ目のリング(前出の写真のピンク)は部品Aを2個繋げれば良いので、先程作成した部品Aをコピーしておきます。「ミラー」を使うのが簡単でしょう。
あとは普通にリングとすれば良いので部品A2つ分の角度の残りの角度を回転させればピッタリくっつくリングが作れます。(360-11.52×2)
不要部分をカットする
ここまでに作ったリングは前での写真のものとは違う形状になっていますので不要な部分をカットします。
部品Aの部分は2mmとなるようにすれば良いので以下のように適当なスケッチを準備してスライドさせます。
二つ目のリングを作る
これで一つ目のリングは完成ですので2つ目のリングを作ります。
一つ目のリングと共通の部分をコピーする
二つ目のリングは前での写真の黄色の部分です。
これは部品A二つと部品B一つを繋げればできます。
一つ目のリングと部品Aは共通しますのでそれはコピーしておきます。
部品Bを追加する
引き続き部品Bを作成します。
同じような考え方で直径19.66mmの円の円周61.7mmの中で部品Bのリングの水平方向の長さは6mmですからそれは9.7%となります。
360度の9.7%は34.92度ですので同じように「回転」を使って34.92度回転させ、6mmずらせば部品Bの完成です。
リングで繋げる
これで必要な部品ができました。部品A2つ分と部品B1つ以外の部分を幅1mmのリングで繋げます。
三つ目のリングを作る
3つ目のリングは1つ目のリングと同じなので単純に一つ目のリングをコピーして180度回転させます。
交差する部分をカットする。
これで基本的なリングを作ることができました。
次にそれぞれのリングを組み合わせたときにそれぞれが交差する部分をカットします。
交差する場合はどちらかが上、どちらかが下を通るようにすれば良いです。
重なる部分の部品をコピーし、重なる位置まで移動させ、幅を半分に調整します。
そのあと、「差」を使って重なる部分を削除します。片方は下をカットしたら、その反対側の部品は上側をカットするようにすればうまく重なる形状にできます。
部品をそれぞれくっつけて完成
ここまでででそれぞれのリングは完成です。
それぞれのリングはここまで全てバラバラですが、リング毎に「ユニオン」させておくと便利です。
あとはうまく重なるように配置してあげれば完成です。
4連のパズルリングも簡単
ここまで作れてしまえば4連のパズルリングを作ることも簡単です。
2つ目のリングを2つ作ってあげればいいだけです。(1、2、2、3と並べる)
3つにすれば5連もできます。(1、2、2、2、3と並べる)
動画でも解説しています。
いかがだったでしょうか。
言葉ではわかりにくい部分も多かったかと思います。
モデリングの流れを動画にしてYoutubeにあげていますのでこちらも合わせてご覧いただくとよりわかりやすいと思います。
このチャンネルではShapr3Dの使い方を実例を用いてご紹介しています。
また、銀や真鍮を加工してアクセサリーを作成する動画も作っているので、アクセサリー作りをしている方はぜひチャンネル登録してください!
実際に3Dプリントしたものがこちら
こちらを実際に3Dプリントしてみました。
チタンでプリントしましたが、プリント直後は寸法がギリギリだったこともありうまくハマりませんでしたw
ただ、磨いてあげてしっかりとハマるようにしました。3連のものも4連のものもうまくできました。
最終的に陽極酸化で色をつけて完成としました。
チタンの陽極酸化についてはこちらの記事にまとめていますのでご興味があればぜひご覧ください。
私が作製したアクセサリーはミンネ、クリーマで展示、販売しております。
私のポートフォリオのようなものなのですが、ご覧いただけるとうれしいです。(どちらも掲載しているアクセサリーは同じです。)
ディスカッション
コメント一覧
まだ、コメントがありません