チタン陽極酸化を自宅でDIYする方法(リン酸+硫酸編)
チタン陽極酸化についてこれまでリン酸を使用した場合の条件と硫酸を使用した場合の条件を紹介してきました。
今回はそのリン酸と硫酸を混ぜて陽極酸化をおこなった場合をご紹介したいと思います。
条件の紹介以外に、うまくいかなかった例も紹介したいと思います。
用意するもの
陽極酸化を自宅で行う場合に必要なものは以下のものになります。
- 整流器
- 溶液
- 陽極
- 陰極
- 溶液を入れる容器
詳しい使用方法などは硫酸編の方に書いてありますのでそちらをご覧ください。
溶液の作製
今回はリン酸と硫酸を混ぜました。
硫酸は一般で購入できる濃度が10%ですのでここにリン酸を加えていくイメージです。
準備する溶液の量によりますが、私の場合は200mlを準備しました。
リン酸は85%以上ということなのでこれを必要量容器に入れた上で硫酸を200mlになるように入れていきます。
実は今回は本当に色々な濃度を試したのですが、それほど変わりがなかったので1番最後に試したリン酸35vol%と硫酸の混合物の結果をご紹介します。
前処理薬品
チタンに電気を流す前に化学的にチタンの表面を綺麗な状態にした方がいいです。
綺麗な状態というのはチタンの表面を溶かして酸化膜がないチタンを剥き出しにするということです(活性化)。
この前処理をしないと、特に純チタンで高電圧の色(緑やピンク)が綺麗に出ません。
薬品自体は簡単に手に入るものなので準備した方がいいと思います。こちらの記事にまとめていますのでぜひ合わせてご覧ください。
試した条件
これまでの他の溶液でのテストでは5分ほど電流を流していましたが、電流が下がったタイミングでそれ以上酸化皮膜が成長することはないということなので今回は全て30秒で試しました。
また、テストに使った材料はチタン製のリングを真っ直ぐに伸ばした針金のような形状を使用しました。
このような形状の場合、簡単に酸化皮膜を削ることができ、やり直しが簡単です。チタン合金なので若干純チタンとは反応が異なる可能性はありますが、試作回数を重視しました。
No. | 電圧 | 時間 | 結果 |
---|---|---|---|
1 | 120 | 30秒 | くすんだ青 |
2 | 110 | 30秒 | 青っぽい緑 |
3 | 105 | 30秒 | 緑っぽい青 |
4 | 100 | 30秒 | ターコイズブルー |
5 | 95 | 30秒 | 青紫 |
6 | 90 | 30秒 | 紫 |
7 | 85 | 30秒 | 赤紫 |
8 | 80 | 30秒 | ピンク、赤紫 |
9 | 75 | 30秒 | ピンク、オレンジ |
10 | 70 | 30秒 | 黄色 |
11 | 65 | 30秒 | 黄色 |
12 | 60 | 30秒 | 黄色 |
13 | 55 | 30秒 | 青みがかった黄色 |
14 | 50 | 30秒 | 黄色がかった青 |
15 | 45 | 30秒 | 黄色がかった青 |
16 | 40 | 30秒 | 水色 |
17 | 35 | 30秒 | 水色 |
18 | 30 | 30秒 | 青 |
19 | 25 | 30秒 | 濃い青(ネイビー) |
言葉ではわかりにくいと思うので試作した写真がこちらです。
電圧は陽極にテストピースをつけてからあげたほうが良さそうです。電圧を上げてから陽極にテストピースを上げると、特に高電圧のときに、色が綺麗に出ませんでした。
電流の流れ方が変わり、陽極酸化による皮膜ではなく、違う状態の不動態皮膜ができてしまっているのかもしれません。
YouTubeで海外の方の動画なんかを見ていると電圧をあげた状態でやっていますが、陽極酸化皮膜をつける対象物が大きいと問題ないのかもしれません。
リン酸を試したときの結果はこちらにまとめています。
どのような溶液がいいのかはまだまだ実験中です。
チタンはある一定の電圧以上の電圧をかけると火花が出るようになります。
この火花が出る電圧は溶液によって異なるようで私が試した中で言うと以下のようになっているようです。
リン酸 > リン酸+硫酸 > 硫酸
高電圧の色である緑やピンクを出したい場合はリン酸を使ったほうがよさそうだというのが今の所の結論です。
陽極酸化被膜を取り除く方法
このようにたくさんの実験をしているとテストピースがすぐになくなっていくと思います。
そんな時は酸化被膜を溶かすとやり直しが簡単です。
実はインターネットで購入できる洗剤を使用して簡単にチタンの酸化皮膜を溶かすことができます。
以上です。今後も陽極酸化に関する記事を書いていきたいと考えていますのでご期待ください!
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