バーナーでチタンを焼き入れするとどのような色の変化をするのか
チタンを火で炙るといろんな色に変化するって知ってましたか?
チタンブルーなどとも言われますが、実はチタンという金属は火で炙ると酸化皮膜ができていろんな色に変化するように見えるんです。
これまで私はチタンのアクセサリーをいくつか作成してきましたが、この性質を利用してアクセサリーに色付けできないかと考えました。
今回は実際にやってみたのでどのように色が変化したのかご紹介したいと思います。
なぜチタンが色鮮やかに発色するのか
チタンやステンレスなどを高音に熱すると鮮やかな色に変化します。
バイクのマフラーなどで青く変化しているものをみたことがある方がいらっしゃると思いますが、これも同じ原理で金属が発色したものになります。
これらはその金属の酸化皮膜が出来上がったことによるものです。
酸化皮膜と聞くと十円玉が茶色くなってしまうようなイメージがあるかもしれませんが、チタンなどに関していうとその酸化皮膜のおかげで鮮やかな色になるんです。
その仕組みは光の反射です。
酸化皮膜ができることでチタンに当たった光が干渉し、その干渉する波長によって色が異なって見えます。
酸化皮膜の厚さによってその干渉する光の波長が変わるのですが、バーナーなどでチタンを加熱しているとその酸化皮膜が成長し、厚さが暑くなっていくことで色が変化していくのです。
このチタンの性質を利用してアクセサリーに色をつけようと考えたんですね。
青や赤など本当に鮮やかな色になるのでこういう色のアクセサリーが作れたらとてもかっこいいなぁと思ったのです。
チタンのアクセサリーはshpar3DというiPadのアプリで3Dモデルを作成し、DMM.makeで3Dプリントして作成しています。詳しくはこちらの記事をご覧ください。
酸化皮膜を作るのに準備したもの
さて、その酸化皮膜を作るために用意したものがこちらです。
- トーチバーナー
- セラミックボード
- カーボンプロテクター
- お皿
- ターンテーブル
- 割り箸
- 消化器
それぞれこれから詳しくご紹介します。
ちなみにご自身で同じようにバーナーでチタンを加熱しようと考えている方は十分に火の扱いに注意してください。
消化器は常に近くに置くようにし、燃えやすいものは近くに置かないようにしましょう。
割り箸は燃えやすいので本当は使わない方が良いと思いながら、ターンテーブルが溶けないように致し方なく使っています。
とにかく十分にご注意ください。
トーチバーナー
加工の主役、バーナーです。
なべをする時に使うカセットコンロなどに使うカセットボンベに取り付けて使うことができるタイプのトーチバーナーを利用しました。
基本的にどのようなバーナーでも扱い等は同じなのでお好みのもので良いと思います。
私は料理を炙るようにも使われるタイプのものを使用しました。
この時に購入したバーナーは指輪やバングルなどを真鍮、銅、シルバーなどのワイヤーや板材を加工してろう付けする時にも使っています。
ターンテーブル
冒頭で説明しましたように加熱する事で酸化皮膜を成長させて色をつけます。
バーナーですとどうしても温度のムラができると思い、できるだけ均一な熱をかけるためにこのようなターンテーブルを用意しました。
フィギュアなどの撮影用に使用されるターンテーブルです。
結果論ですが、このターンテーブルを使っても発色にムラがあったのでなくてもいいかもしれません。
お皿
セラミックボードなどを置くためのお皿です。
セラミックボードを直接ターンテーブルの上に置くと流石に溶けると思ったので間にお皿をおきました。
割り箸を置いたのはターンテーブルとお皿の間に空間を作り、ターンテーブルに熱が伝わるのを防ぎたかったからです。
セラミックボード、カーボンプロテクター
金属のろう付け用のセラミックボードです。
火を扱う時はこのようなセラミックボードがあった方が良いでしょう。
また、その下に炭素繊維でできたカーボンプロテクターなるものを敷いています。
これがあると火を阻んでくれますし、これ自体燃えにくいものなので安全性を高めてくれます。
バーナーを扱う場合はこのセラミックボードとカーボンプロテクターは必須だと思います。
色の変化
さて、実際にバーナーで炙っていった時の変化をご紹介します。
ちなみに火力ですが、ガスの量が1番少ない量にしています。
加工前
加工前はこんな感じの色です。
加工前に家庭用洗剤で洗っています。
本当は酸につけて表面を化学的にも綺麗にした方が良かったのですが、丁度良い酸を用意していなかったので酸処理をしませんでした。
これはこちらの記事で鏡面加工したチタンのリングです。鏡面加工についてご興味があればこちらの記事も合わせてご覧ください。
バーナー 約40秒 黄色
ターンテーブルを回しながらバーナーで炙って40秒ほどで若干黄色っぽくなりました。
バーナー 約68秒 紫
黄色くなってからすぐに全体が赤みを帯びてきて紫っぽい色になりました。
バーナー 約76秒 青白
紫の次は青くなり、一部白っぽいような色になりました。
この時、表面の油汚れか何かのせいで点状に色が白っぽくなっているような部分がありました。
この段階の色が最も色鮮やかで綺麗に発色していたと思います。
バーナー 約118秒 一部 赤、黄色
さらに加熱していくと一部が赤色になり、そこから黄色とのグラデーションが発生。
バーナー 約175秒 赤、青、白などのグラデーション
加熱を続けると全体が赤、黄色、青のグラデーションに。
バーナー 約241秒 赤、青、白などのグラデーション
そこからさらに3分ほど加熱を続けるとグラデーションの感じが若干変化するくらいで大きな変化はしなくなりました。
そのため、この段階で加熱をやめました。
写真で見ると綺麗なグラデーションでこれはこれでありかなぁという印象を受けますが、実物はくすんでおり、あまり綺麗なものではありませんでした。
酸化被膜を溶かす方法
こんな感じで陽極酸化をしていると「あそこで止めておけばよかった!」と感じることもあるかと思います。
そんな時は酸化皮膜を削ればいいのですが、薬品で溶かすと時間を短縮できます。
その薬品もインターネットで簡単に入手できます。
バーナーでの酸化皮膜作成はコントロールしにくい
いかがだったでしょうか。
チタンをバーナーで加熱していくとこのような色の変化をしました。
本当は酸化チタンの綺麗な白色にしたかったのですが、そのようにはならないようです。(酸化チタンは白い塗料の顔料としも使われています。)
バーナーの場合、どうしても熱が均等にできず、このように色むらになってしまうようです。
このようなムラがあってもアクセサリーとして使うことはできそうな気がしますが、個人的にはあまり使えないなぁという印象です。
綺麗な発色を実現したい場合は電気的な陽極酸化などの方法を使った方が良いかもしれません。
陽極酸化についてはこちらの記事でまとめていますのでぜひ合わせてご覧ください。
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