より効率の良いチタン陽極酸化の前処理、エッチングについて
チタンは酸化皮膜の厚さをコントロールすることでとても鮮やかな色を付けることができます。
この酸化皮膜の厚さはさまざまな方法でコントロールすることができますが、より多くの色をむらなく発色させる方法として陽極酸化という方法があります。
陽極酸化とは電気を流して酸化皮膜をつける方法ですが、ただ電気を流すだけでは綺麗な色はつきません。
電気を流す前にチタンの表面を均一で綺麗な表面に調整してあげる必要があります。
その陽極酸化前の前処理をエッチングと言いますが、そのエッチングを行う薬品は一般家庭で購入できるものもあります。
酸性条件下でフッ素があるとチタンは溶け、過酸化水素でスマットを除去
チタンは薬品にとても強く、多くの薬品に対して反応しません。
そんなチタンでも反応して溶けてしまう薬品があり、それがフッ素です。
酸性条件下でフッ素が存在するとチタンは溶けてしまうのです。(この時点でチタンは水にとけているわけではない。)
この溶けるとというのがエッチングなのですが、フッ素を含む洗剤は一般で購入できます。
ただチタンを溶かすだけだとチタンの表面に黒い粉がついてしまいます。
この粉はスマットと呼ばれるものなのですが、金属を薬品で溶かしたりすると表面に付着します。
このスマットを除去するのに過酸化水素を使います。
過酸化水素とチタンが反応して錯体というものを作り、チタンが水に溶けます。
この作用を利用してスマットを除去します。このスマットを除去しないと綺麗な色を付けることができません。
そんなに大量に必要ないという方向け
これまでにもチタンのエッチング用の洗剤をご紹介してきました。
こちらの記事にまとめておりますが、量も少ないので少しだけエッチングができれば良いという方にはこちらがおすすめです。
もっと濃度が濃いもの
ただ、こちらでご紹介した洗剤はフッ素(フッ化アンモニウム)、過酸化水素の濃度が低いです。
回数を重ねて処理しているとすぐに使えなくなってしまいます。
そのためもっとそれぞれの薬品の濃度が高い洗剤があると便利です。
実はこの濃度が濃い洗剤というのも購入できます。
それがこちら。
これらは4Lもあるので大量に使う人でないと持て余してしまいますが、濃度が濃いとチタンとの反応が速かったり、使える回数が多かったりするので、定常的にチタンの陽極酸化をしたいという方にはおすすめです。
まずビッグサンクリーンのみにチタンを入れます。
濃度が濃いのですぐに泡が発生すると思います。
この後にビッグサンクリーンとハイプロックスアクセルを1:1で混ぜた溶液にそのチタンを入れます。
すると表面について黒いスマットが取れて綺麗な白っぽい色の表面になります。
光沢を保ちたいなら
フッ素を含む洗剤でチタンをエッチングして、過酸化水素を含む薬品でスマットを除去するという順番で前処理を行うのですが、ただ普通にこの作業を行うとチタンは梨地のすこしマットな表面になります。
鏡面光沢にした後にこの二つの薬品につけると白くくすんだ色になってしまうことがあります。
これを回避したい場合は、スマット除去の際にビッグサンクリーンとハイプロックスアクセルに硫酸を加えます。
すると、チタンのスマットが溶ける速度が速くなり、白いくすみを抑えることができます。(見た目は泡が発生しません。)
光沢を保ったまま陽極酸化を行いたい場合はビッグサンクリーンなどのフッ化アンモニウムを含む薬品のみに付ける工程は省き、スマット除去のだけを行うようにするといいと思います。
ビッグサンクリーン:ハイプロックスアクセル:硫酸=1:1:2
以上の割合で混合した溶液に1分つけてから陽極酸化すると白いくすむを抑えることができ、綺麗に陽極酸化ができます。
このスマット除去用の溶液ですが、一度作ってから日を跨いで使用しようとすると反応が悪くなり、チタンの表面がくすんでしまいますので、時間を置いてしまう場合はハイプロックスを建浴時と同量追加してあげると良いと思います。おそらく過酸化水素が分解してしまうためだと思います。
ちなみになぜこうなるのか、ですが、チタンの錯体ができる反応はおそらく可逆反応なのですが、全体を賛成条件にすることでその可逆反応がチタン錯体ができる方向に傾くためにこのようなると思います。
私が作製したアクセサリーはミンネ、クリーマで展示、販売しております。
私のポートフォリオのようなものなのですが、ご覧いただけるとうれしいです。(どちらも掲載しているアクセサリーは同じです。)
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