【書評】世界に通じる「実行力」の育てかた
「これぞ、天職だ!」
そんな仕事につきたいと考えている方、たくさんいらっしゃるのではないでしょうか。
「そんなやり方があったか?!」というびっくりするようなビジネスモデルで社会問題を解決していく、そんなやり手起業家に私はすごく憧れていて、ライスワークではなく、ライフワークとして仕事に取り組む、そんな生き方を実践したいなと強く思います。
そういう生き方をされている方の本は沢山あると思いますが、その中でも考え方がすごいなと思っていた小林りんさんの書かれた本を今回はご紹介したいと思います。
ユナイテッド・ワールド・カレッジISAKジャパンという学校法人の代表理事の方で日経ウーマンのウーマンオブザイヤー大賞など数々の受賞歴を持つ小林りんさんなのですが、こういう生き方、働き方にとても憧れます。
小林りんとは
まず、小林りんさんのご紹介ですが、今は前述のようにユナイテッド・ワールド・カレッジISAKジャパンという学校法人を作った方でその代表理事を勤められています。
ユナイテッド・ワールド・カレッジISAKジャパンとはユナイテッド・ワールド・カレッジ(UWC)という世界的な非営利教育団体に加盟していルでインターナショナルスクールオブアジア軽井沢(ISAK)という学校のことで世界中から生徒が集まる全寮制の高校だそうです。
チェンジメーカーを育成するという理念のもと作られた学校なのですが、小林りんさんは、この学校を作るまでの経歴もすごく、モルガン・スタンレーや国際協力銀行、ユニセフなどで仕事をしていたり、ユナイテッド・ワールド・カレッジ カナダ校、東京大学経済学部を卒業し、スタンフォード大学で修士号などもとっているという超一流なんだなと思わせるには十分なものです。
貧富の格差をなくすために
そんな超一流の小林りんさんがこのISAKを作ろうと思ったきっかけがとにかくすごい!と私は感動したのですが、それは小林りんさんがユニセフに在籍しているときの経験が関わっています。
ユニセフの職員として、フィリピンで貧困層の教育に関わっていた小林りんさんは修学機会のない子供たちが基礎教育を受けられるように支援をするNPOと活動してを共にしており、そこにとても意義を感じたそうです。
ただ、それと同時に圧倒的な格差や汚職が渦巻く状況は変えられないということも思い知ったというのです。
親が教育を受けていなければ、子供に教育を受けさせようと思いにくい、例え教育を受けても、社会的な格差が大きすぎてなかなか職につけないことも多く、未来に希望が持てない。こうした負の連鎖を断ち切り、社会システムそのものを変えるには、その国で教育を受けた人たちの数%でも変革の旗振り役となって、社会を変えていく必要があると感じたそうです。
私は教育支援といえば発展途上国で学校を作る、といったことくらいしか考えていなかったのですが、それだけでは格差をなくすことができていないということに驚きました。
また、世界を変える旗振り役を育てるということは、乱暴な言い方をすれば、エリートを育成するということだと思うのですが、英才教育やエリートを育てるための教育というのはお金を持っている人だけが出来ることだという印象があったので、あまり良い印象を持っていませんでした。
ですが、エリートを育てて世界を変えていくという、私の価値感では思いつかなそうなことを実現されているので、すごく感動しましたし、この本を見つけたときに、すぐに読んでみたいと思ったのです。
始めは何をやりたいのかわからなかった
そんな、まさにライフワークに取り組まれている小林りんさんですが、初めから、この学校を作りたいと思って生きてきたわけではなく、やりたいことがはっきりしないまま転職を繰り返し、様々な経験をしながら生きてきたというのです。
新卒で入社したのがモルガン・スタンレー、そこからITベンチャー、国際協力銀行からスタンフォード大学、そしてユニセフと34歳までに4度の転職をしてきたというのです。
親しい友人からも「りんは人生で何がしたいの?」と呆れられたそうです。
本書を読む限り、小林りんさんはこれがやりたいという具体的なものはなくても方向性としては貧困をどうにかしたいという想いがずっとあり、それに対して、その時その時で何をすればいいのか考えて、実行してきたから自分だけの「北極星」を見つけることができたということだと思います。
やりたいと思ったことを実行していくことで新たな経験をして、沢山の経験をしながら「本当にやりたいこと」を見つけていったということなのではないでしょうか。
アート思考に書かれていることと同じだった
この本を読んですぐに思い出したのは「13歳からのアート思考」という本です。
「13歳からのアート思考」という本では自分の興味どんどん深めていく(探求の根を深めていく)ことでいつのまにか自分でも気づかぬうちに多くの人を魅了するもの(表現の花)が出来上がる。表現の花を作ることを意識するのではなくて探求の根を深めていくことに集中した方がいいよ、ということが書かれています。
この表現の花というのが「本当にやりたいこと」の事なのかなぁと想像しているのですが、小林りんさんはそういう生き方をしてきたから「本当にやりたいこと」を見つけ、多くの人を巻き込み、UWC ISAKができたのではないかなぁと思います。
行動のスケールの違いを感じることができる本
本書では「実行力」という単語がキーワードになっていると思います。
色々悩んでいるよりも何か実行して自分への問いの答えを探していくことが大切で、実行できないという人はこういう風に考えてみたら?ということが書かれています。
小林りんさんは本当に元から優秀で、優秀だからこそできたことも多いのではないかなぁとも思いますが、自分の疑問に対して最高レベルの実行をすることができたことがすごいのかなぁと思いました。
私は「時間に縛られず自由に生きたい」という想いがあり、会社員以外の生き方を模索するためにブログなどを始めてきましたが、「時間に縛られず自由に生きたい」という想いに対して、小林りんさんだったらおそらくもっとスケールの大きいことをするんだろうなぁと思います。
やりたいことを見つけたい、そう思っている方にはおすすめしたい本ですし、自分の探究の根を深めていく具体的な事例として参考になる本だと思いました。
これまで「本当にやりたいことを見つける」というテーマで色々な本を読んできました。その上でどのように本当にやりたいことを見つければいいのか、現状の私に考えをこちらの記事にまとめました。
こちらもぜひご覧ください。
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