【書評】システム思考がモノ・コトづくりを変える デジタルトランスフォーメーションを成功に導く思考法

書評システム思考,書評

物事は本当にいろんなことが絡み合っている今のようになっているんだと思います。

でも何がどのように影響しているのかなかなか整理できないんですよね。

私も中国で仕事をしているときに自分が担当する部署が潜在的に不良率が高い状況で、なぜそういう状況になってしまったのかがよく分かりませんでした。

思いつくことをブレインストーミングの要領で書き出してもみましたが、ブレインストーミングって一方通行というか一方向なんですよね。

いろんなことが影響しあって一周して、っていう負のスパイラルをうまく書けないんです。

うまく負のスパイラルを表現するような方法がないかなぁと思っていて見つけたのが「システム思考」でした。

システム思考を知ったのが、2015年くらいだったんですが、最近になって改めて勉強したいと思い、システム思考に関する最近の本を探して、「システム思考がモノ・コトづくりを変える デジタルトランスフォーメーションを成功に導く思考法」を読んでみました。

システム思考とは

システム思考とは、私の理解ですが、ある問題に対して関連する要素同士を繋げてその要素がどのように影響しているのかをつなげていくことで、なぜそのような状態になってしまったのかを明らかにしようというアプローチです。

システム思考

こちらがホームページです。

おそらくシステム思考で一番代表的な本は「学習する組織」という本です。

私もシステム思考はこの本を読んで知ったのですが、要素同士をつないだ「ループ図」は本当に目から鱗でした。

図の読み方などは今回ご紹介している本や「学習する組織」を読んでいただきたいですが、物事が絡み合ってグルグル回って今の状態になっている、ということをうまく表せる図だと思います。

ただ、実際に自分で描こうとすると結構難しい。

要素を描いてみたけど、表記方法はこれでいいのか、矢印の方向はこれでいいのか、などなど結構迷うんですよね。

専門用語の定義がしっかりしている

この本ではシステム思考で使う用語の定義がかなりしっかりと書かれています。

「学習する組織」ではループ図の書き方が簡単に書いてあるだけだったので、それに比べるとかなりしっかりと書かれています。

結構厳密に書かれているので初めてご覧になる方には逆に難しくなってしまっているように思います。

流れがわかる

システム思考といえばループ図なのですが、この本ではその他に「ステークホルダー・バリュー・ネットワーク(SVN)」というものも紹介されています。

ループ図だけがシステム思考だと思っていましたが、そのループ図を書く前にも、そのシステムを分析する手法があり、ループ図は大きな枠組みの中の一つでしかないということだと思います。

ループ図を書いてみようと思ったことはこれまで何回かありますが、どのような視点で書き始めればいいのかちょっと迷うことがあったんですね。

しかし、本書で書かれているSVNの分析から価値の流れを抜き出し、その価値がどのような流れで提供され、誰かの問題を解決していくのかをループ図でシミュレーションするという大きな流れを知ることができるので、過去に思った「何から書き始めればいいのか」という疑問も少しスッキリしました。

ある程度システム思考を知ってる人向け

私はループ図をよりしっかりと書けるようになりたいと思い、この本を読み始めました。

予備知識があったので、この本を片手に実際にループ図を書いてみようと思いましたが、システム思考に関する本が本書が初めてだった場合は少し難しい内容のような気がします。

それでもシステム思考を勉強する上では持っていても損ではないとは思いますし、最後に書かれている富士通での事例も書かれているので、システム思考とはどのようなものなのか、どうやって活用していくのか、という部分はわかるのではないかと思います。

初めての方には難しい本だとは思いますが、システム思考はとても有益そうなものだということはわかると思いますので「システムダイナミクスによるモデリング」という部分だけでも読む価値はあると思います。

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